マンションデベロッパーになるルートは、次の通り。
1.マンションの仲介、または販売代行をする。
これは、つまり、元手をかけずに、マンションを販売していくということだ。
もちろんマージンは低いが、元手をかけず、営業の力を示す効果がある。
2.人脈から物件を仕入れて、販売する。
これは、1で種銭をつくった後、販売する物件を仕入れて販売していくということだ。
物件を仕入れることで、在庫リスクは増えるが、マージンは厚くなる。
3.仕入れる規模が大きくなっていく。
これまで、仕入れる物件も、マンション数戸程度であったのが、
マンション数フロアとなっていき、最終的には、マンション一棟を仕入れることになったりする。
4.自社で土地を仕入れて、デベロッピングし、販売する。
ここまでで蓄えた資金と銀行からの借金で、土地を買い、1年近くかけて建物を建築して、販売する。
ここからは、新興デベロッパーがたどりやすいルート。
5.デベロッピングによる成功で、大きな成長を遂げる。
たとえば、エスグラントコーポレーションの場合、年商179億円へと成長を遂げた。
6.売れない物件も出てくることで、在庫が積みあがる。
完売すればいいものの、すべてがすべて売れるとはかぎらず、売れない物件も出てくる。
そうなると、不良在庫が積みあがってしまうことになる。
7.仕入れた土地の価格が下落し、販売マンションに
利益が乗せられず、収支が狂う。
さらには、もし、土地の価格が下落局面であった場合、
デベロッピング用に仕入れた土地がその資産価格を減少させることになる。
販売マンションの価格には、もちろん、仕入れ値(土地の購入代金)分が含まれており、
それが現在に比べて高いということは、割高な仕入れ値であるが、それを価格に転嫁させなければならない。
しかし、マンションの販売価格はというと、周辺の価格と比べられるため、そこまでの値上げは困難。
であるために、マンションを販売していったところで、利益は出ず、収支が狂う。
8.かといって、人件費などの固定費の支出は必要となり、
状況はまずいがデベロッピングし続けないと、経営が回らなくなる。
土地の価格が下落しているときは、何もしなければいいのだろうが、
何百人も雇用していたり、自社ビル含めて、オフィスを借りていたりするのだから、
何もしなくても出て行くお金はあるわけで、売上を上げ続けるためにも、デベロッピングし続けなければ、なかなか回らない。。。
9.経営が厳しいところに、銀行の融資も渋くなり、資金繰り難になり、倒産する。
そうなると、やはりすべての計算が狂っていき、銀行も貸してくれなくなり、
かといって、マンションも売れず、含み損も増えていく。
ゆくゆくは、資金繰りに窮するようになり、多くは倒産への道をたどる。
デベロッパーというのは、巨額の先行投資を行い、
1-2年かけて、物件を完成させ、販売して、回収していくビジネスであるのだから、
土地の価格リスク、在庫リスク、資金繰り問題など、色々と難しい経営課題を背負っているモデルだと感じる。
参考文献:
ダイナシティの挑戦 鶴蒔 靖夫 (著)
1R(ワンルーム)男 杉本 宏之 (著)