いきなりタイトルに「錬金術」とありますように、本書は「お金本」です。
ただ、内容は至極、真っ当で賢明な「貯蓄本」なのです。
私はこれまでの人生で書籍を2000冊以上は読んできました。
そのほとんどは俗に言う「ビジネス書」「金融関連書」です。
テーマがビジネスのこと、会計のこと、金融(ファイナンス)のことです。
株式、債券、投資といったテーマが金融です。
もちろん個人の家計問題についても、それなりに多く読んできました。
パーソナル・ファイナンス分野と呼ばれます。
この個人の家計問題に関する本のなかで、私個人がベストに位置すると勝手に思っている一冊がこの「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」です。
私個人が本書の著者、ジョージ・サミュエル・クレーソンのことを知ったのは「バビロンの大富豪」という本でした。
正直、本書「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」と内容はほぼ一緒です。
それはおそらく本書がアメリカで1937年?くらいに出版されたことから、著作権切れしたことで、出版されているからではないか、と思っています。
最初に出版されてから75年くらい経っている計算です。
同じ感じで、ほぼ内容が一緒という本が何冊か出ています。
とにかく、「バビロンの大富豪」と「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」は内容はほぼ同じです。
それはとにかくいいのですが、内容は絶品です。素晴らしい。
内容をお話させていただくと、非常にベーシックでシンプルなことが書かれています。
もし、シンプルでベーシックな話が嫌いなら、本書は合わないでしょう。
ただ、根本的な話、本質的な話はいつの時代もシンプルです。単純なことです。
それは法則のようなもので、どの時代、どの国でも同じです。変わりません。
もし、そういう法則に興味があるのでしたら、本書はベストな本になるでしょう。
さて、内容でした。
本記事の最初にお話したように、本書は「賢明な貯蓄本」です。
ですので、本書を読んで実行した効用は「1 お金が貯まる」「2 資産家になれる」でしょう。
ルールはシンプルです。
・稼ぎ以下の金で生活する
・その道の経験者から助言を請う
・お金を賢明に運用する
これらのことについて、詳細に語られています。
「稼ぎの一部を自分のために取っておく」
これが「稼ぎ以下の金で生活する」ということ。
「黄金は、稼ぎの十分の一以上を自分と家族の財産作りに充てる者に、すすんで集まり、数を増す」
収入の十分の一を着実に貯め続け、賢明な投資に役立てる者は、価値ある資産を必ず作り出すということです。
そして、蓄えたお金は投資に回す。
ただ、注意すべきなのは「その道の経験者から助言を請う」ということです。
本書ではこう語られています。
「レンガ職人に宝石の知識を頼るべきではない」
「星の知らせを聞くためにパン屋に行くべきでない」
「宝石のことは宝石業者に聞け」
「星の知らせを聞くには、星占い師に聞け」
「君の貯める金貨はどれも、君のために稼いでくれる奴隷だ。それが稼ぐ銅貨は子供だ。これも君のために稼いでくれる」
「富は木と同じく小さな種から育つのだ。君が蓄える最初の銅貨が富の木を育てる種になる」
加えて、借金返済の心得についても語られています。
「十分の一を自分のために蓄え、十分の七を生活のために妻と分け、十分の二は銅にして貸主に公平に分けた」
収入を100とすれば、70%が生活費。20%がローン(借金)返済。10%は貯蓄。
このような比率で家計を維持していくことで、借金もきちんと返済でき、また、貯蓄も貯まる、資産形成もできるというわけです。
これは、住宅ローンを返済していく上での目安にもなります。
きちんと住宅ローンを返済し続けると同時に、自分たちの資産形成もきちんと行っていく。
素晴らしい人生を送るためのひとつの指針となる一冊だと思います。
私のベスト本のひとつです。