西南学院大学博物館
福岡の私立大学として、有名な西南学院大学。私の友人が何人も卒業生です。西南学院は1916(大正5)年4月11日、教師9名、生徒104名とともに現在の赤坂付近に開設されました。1917年、かねてから考えていた移転の資金目処が立ち、西新の現在地に移転します。1918年に第一校舎、1919年に第二校舎が建設。そして、1920年に2つの校舎の間に本館として、着工されたのがこの建物です。
西南学院中学校・高校の講堂として使用され、ヘレン・ケラーやリンドバーグ夫妻が来訪、マーティン・ルーサー・キング夫人であるC.S.キングが1986年5月に創立70周年記念講演を行った場所でもあります。現在では、西南学院大学博物館となっています。学院創立者のC.K.ドージャーを記念して、ドージャー記念館ともよばれています。
この建物は、福岡市都市景観賞を2000年に受賞、2004年には福岡市有形文化財として指定されています。赤レンガ造建築で3階建て、延べ面積980平米。間口24m、奥行15m、軒高10.4m、棟高15mです。福岡でも珍しいレンガ造りの建築物です。建築様式としては、ジョージアン・コロニアル・スタイル。イギリスの古典様式であるジョージアン様式がイギリスからアメリカ北部に入植してきた人々によって、生活に合わせて簡略化された様式です。アメリカの1700年代後期ころからの住宅様式です。
間口の広さとレンガ積みの外壁のテイストとマッチして、どっしりとした重厚感あふれるデザインです。100年近い時を経ても、「いい」と思わせる色褪せないデザインです。
この建物を設計したのは、著名な建築設計家であるウィリアム・メレル・ヴォーリズです。24歳で宣教活動のため来日したヴォーリズはアメリカ合衆国に生まれ、日本で数多くの西洋建築を手懸けた建築家として知られています。また、「メンソレータム」で知られる製薬会社、ヴォーリズ合名会社(のちの近江兄弟社)の創立者の一人としても有名です。
福岡には歴史的な価値を持つ建築物がいくつもあります。過去があって、今があるのですね。