伝統的建築

鶴屋吉信本店:中村外二

京都の和菓子店、鶴屋吉信本店を建築研究しに伺いました。
鶴屋吉信は和菓子で有名。 1803年(享和3年)創業の老舗です。
福岡でも天神にある岩田屋本店にお店があります。

お目当ての建築物は2階にある「茶寮」です。

そもそもこの鶴屋吉信本店の建物自体、景観に配慮した建築ということで京都市都市景観賞を受賞している建物。店内も美しく、京都の街並みにマッチした外観、内装です。

「茶寮」への入口は、正面玄関の右横。
路地裏のような風情で、竹が植えられた細い小道を行き、エレベータールームへ。
早速、2階の「茶寮」へと伺います。

天井は網代(あじろ)。
全体として線の細い印象を与えつつも、日本的な風合いのする和の空間。

中庭には、つくばいが置かれ、水が流れるさまを眺めることができます(ここは2階ですが)。中庭も、水の流れとともに、緑が置かれ、全体の石庭とのコントラストが日本の美を象徴しています。

そして、奥にはお茶室。
手前にあるべき柱がないもんだから、この屋根はすごいスパン(距離)を吊っている計算に。こちら側から見られることを強く意識した結果、柱を取り払ったかたちでしょう。艶やかな化粧柱が印象的。

なぜ、この茶寮がお目当てかと申しますと、この茶寮は数寄屋建築の名建築家中村外二の設計だからです。中村外二は、裏千家の出入り大工であり、伊勢神宮のお茶室、松下幸之助の依頼、ジョン・レノンやロックフェラーといった世界的な著名人の住宅建築まで、幅広い活躍をされた大工です。中村外二のすごさを存じ上げているからこそ、見たいと思った建築物のひとつです。

ちなみに、カウンター席では、生菓子の実演が見られます。目の前で、季節の京のお菓子がつくられる様子を見ることができます。

私は「粟ぜんざい」をいただきました(1000円也)。
粟のもちもちっとした食感。そして、きれいに漉された餡の甘さ。おいしくいただきました。

設計者:中村外二
所在地:京都府京都市上京区堀川今出川
主用途:喫茶室
竣工:1992年

鶴屋吉信
営業時間:9:30~18:00(オーダーストップ17:30)
定休日:毎週水曜日
住所:(本店)〒602-8434 京都市上京区今出川堀川西入  (西陣船橋)
TEL:(075)441-0105(代)
FAX:(075)431-1234