でんホームの活動

児童養護施設の現状と支援のアプローチをどうすべきか?

「児童養護施設」という言葉を聞いたことがありますか?

「児童養護施設」は、様々な家庭の事情により家族と暮らせない子供たちが生活する施設です。全国に約560施設。0歳から18歳の子供たち約3万人が生活しています。以前は「孤児院」と呼ばれていたのですが、現在ではむしろ孤児は少ないのです。

親はいるが、養育不可能になったことで預けられるケースが多いです。具体的には、虐待された児童です。約6割は虐待が原因で、施設に入所するとのことです。

この「児童養護施設」は子供たちの支援、保護をされていらっしゃいます。
しかし、問題点も多々抱えているそうです。

たとえば、待機児童の数は増加しているのですが、対応する施設数が不足しています。これは財政的な問題も大きいです。

また、虐待された児童が多いですから、心の傷をケアしなければなりません。しかし、人員も不足しています。そのため、職員自体のオーバーワークが起こり、燃えつき症候群になってしまうケースも目立っています。

加えて、安心して暮らすことのできるはずの施設で、内部での虐待もあります。施設職員による体罰、性的虐待。子供同士のいじめや暴力、性的虐待。

様々な問題を抱えていますが、社会にとって必要な存在です。これらの問題を解決していくことが、養護児童の人生にとっても大いにプラスになることと感じます。

私と児童養護施設とのつながり

私自身のプロフィールをご覧いただければおわかりのように、私の父は小学3年生のときに他界しています。かれこれ、10年以上は母子家庭で育っていたわけです。

さいわいなことに、今でも母は健在で、よく育てていただいたと思います。ただ、もし、母がケガしたり、ましてや他界してしまった日には、私自身も児童養護施設に入っていた可能性は否定できません。母が私に虐待していても、児童養護施設に入っていたかもしれません。

今、過去を振り返ってみても、万一のことがあった場合、私自身も児童養護施設に入っていたと思うのです。

ですから、私自身、この種のテーマには関心があります。

福岡で活動する団体:スマイリーフラワーズ

お話をお聞かせいただいたのは、スマイリーフラワーズ代表 窪田広信様です。

2012年中に団体をNPO法人(特定非営利活動法人)として設立を予定されていらっしゃいます。
参考:スマイリーフラワーズ公式サイト

窪田様は、福岡県でパートナーと共に海外留学エージェント(日本人の海外留学を手配する会社)を経営されていました。10年の業界キャリアをお持ちです。そこから、既存の会社を離れ、NPO法人を設立する道を選ばれました。

そもそもは、窪田様自身、4人兄弟母一人という母子家庭の貧しい家に育ったことが原体験としてあるそうです。

自分では脱することのできない社会格差遺伝のなかで、将来に明るい希望を見いだすことのできなかった自分が、多くの人に助けられて海外に飛び出すことができ、それを機に大きく人生を切り開くことができたという経験があります。

これまでは、わずかながらも養護施設や小児病棟などで児童ボランティアに携わってきたそうです。ただ、社会格差遺伝の現実を考え、憂いを感じたそうです。

つまり、社会的底辺で育った子供は、同じく社会的底辺に陥りやすく、社会的上層で育った子供は、大人になっても社会的上層に立ちやすいということです。

そこで、NPO法人を設立され、大きな波を起こそうと奮闘されていらっしゃいます。

窪田様の夢は、自分の団体から支援を受けた子供たちが成長し、成功し、大人になって彼らが次の世代を支援していくこと。そういう支援の連鎖を創ること。

正直、お話を聞いていて、道のりは大変険しいものになると感じます。
それは、児童養護施設に関する社会的な認知がそこまで高くないからです。

なぜでしょうか?
「自分ごとではないから」です。

自分は大人。
自分には両親がいる。
自分はやさしい両親(腹立つこともあるけど)に育てられた。

そういう人が多いからです。
児童養護施設について、少しも関心を持たずにいられます。

私は違います。
母子家庭で育ち、母一人というリスキーな状況下で育ちました。小学生の自分でも、施設に入る可能性に恐れていました。

ですが、実際には少ないです。

児童養護施設の現状、問題点への認知を広めていくと同時に、養護児童の人生をよりよい方向へと支援するアプローチをとっていくことは、とても厳しい道のりだと思います。

ただ、私はこのような活動が社会にとって大いに有益だと思います。
また、私自身の過去から、そのような支援の一助となりたいと思います。

最後に、このような支援活動団体の一部には、私利私欲で、私的濫用を行っている団体もいることは存じ上げております。

そこで、私は窪田様にくれぐれもそうならないよう、会計報告、活動報告をきちんと行い、クリーンで透明性の高い運営を行っていただくようお伝えさせていただきました。

健全で透明性の高い支援団体が増えていくと、もっと素晴らしい社会になるのではないかと思います。

弊社でんホームでもCSR活動のひとつとして、このような支援団体のサポートも行っております。

社会がより素晴らしいものとなりますよう、願うと同時に、一助となる活動を行っていきたいと思います。