福岡県春日市・クローバープラザ内にあります「福岡県生涯あんしん住宅」の視察をしてきました。
県の住宅・福祉分野のデータをもとに、平均的な持家所得世帯をモデル、福岡県の平均像としています。
加えて、介護対象者の疾病についても県下で多発する例を参考として、モデル住宅を建設しています。
世帯設定は
・父(70歳)
・母(65歳)
・夫(43歳)
・妻(40歳)
・長女(16歳)
・長男(13歳)
お年寄りや体の不自由な方への住まいづくりの参考としてつくられたため、全体としては、徹底的に設備を装備していった印象。
たとえば、台所の高さが75cm前後に設定されたり、トイレもかなりのスペースを設定。
この場合、本当に台所をその高さに設定すると、車いすに乗っている人本人にとっては、便利でやりやすいです。しかし、それ以外の家族は至極、使いづらい設計になってしまいます。
ですから、本当に導入を計画する際には、どのような家族構成で、どのような生活を送るのかまで検討しておかねばなりません。たとえば、家事をするのが車いすに乗る人本人であれば、全部を自分に適合するように設計するのがベストです。しかし、その人以外に4人くらい家族がいて、その人たちが家事をしたりするのであれば、台所の高さ設定を変える必要はないでしょう。
つまり、すべてはケースバイケースだということです。
車椅子に乗って、実際に車椅子の方の疑似体験をしてきました。
やはり機動性が歩きより大変で、腕が疲れますね。
また、リフォームや新築、改築する上でも問題になるのは、やはり「お金」になってきます。
たとえば、上下移動機器としてホームエレベーターや階段昇降機を設置したいと望んでも、予算がなければつけられません。
ただ、この点で検討すべきは、本当は「お金」ではありません。
その目的を実現するための「知識」や「考え方」なのです。
「ホームエレベーターをつけたいです」
「なぜでしょう?」
「二階に上がるとき、大変だからです」
「では、どれだけの頻度で、二階に上がりますか?」
「・・・ほとんど上がってません。物置に行くときでしょうか」
これでは、その費用も無駄になります。
ホームエレベーターは楽になる装置かもしれません。
しかし、本当にそれが必要なのか、という点に省みると、意外に不用だったり、安価な代替案で解決したりするものです。
今回、視察しました「福岡県生涯あんしん住宅」には、モデル住宅として、たくさんの設備や改造がなされていました。ただ、これらはあくまでモデルであって、個別具体的なケースによって、解決策は異なるものです。
「よさそうだから」という安易な理由で、早まって決断するのではなく、
・「何を実現するためにするのか?」
・「誰のためにするのか?」
・「本当にそれがコスト効率的な手段か?」
の三点をケースバイケースで検討すべきです。
世の中には、あまり知られていないけれども、有益な情報なり、安価な代替案があるものです。
まず、ご自分で検討されてください。
それでも、難しい場合は、専門家にご相談ください。
弊社の「建築士無料メール相談」もあります。
生涯あんしん住宅
住所: 春日市原町3丁目1-7(クローバープラザ内)
JR春日駅より徒歩5分 ・西鉄春日原駅より徒歩10分
開館時間: 10:00~17:00
休館日: 毎週月曜(ただし、月曜日が祝日の場合は、火曜日休館)