2024年8月22日(木)、福岡市のLIXILショールーム会議室にて、新住協 九州研修会を開催しました。
直接のリアル参加者は20名を超え、また、全国からのオンライン参加者は35名と九州支部の勉強会では多数の参加者にお越しいただきました。
内容としては下記の通りです。
熱交換換気の選び方の基本・勉強会
鎌田先生は『断熱等級やUA値が一緒だとしても熱交換換気の導入により、冷暖房費がかなり変わる!』とおっしゃられています。
『そもそも熱交換換気のしくみ』そのものについて、また、数社あるメーカー毎の違い、『カタログ性能値の見方など』について、各メーカーさんをお招きして、鎌田先生の講義も交えながら、実際の実務に活かしていただけるような勉強会を開催いたしました。
鎌田紀彦先生による「熱交換換気の重要性と選定の仕方 施工についての注意点など」
断熱等級・UA値が一緒だとしても、熱交換換気を採用した住宅と採用しない住宅の暖房エネルギー削減効果は異なります。冷暖房費が熱交換換気によってかなり下がることになるそうです。
等級が上がれば、それだけインパクトは大きいそうです。
そもそも論として「熱交換換気で省エネ効果を十分に得るには住宅の気密性を高くする必要がある」
熱交換換気の選び方を検討する前に知っておくべきことがあります。
それは、
そもそも論として「熱交換換気で省エネ効果を十分に得るには住宅の気密性を高くする必要がある」
という点です。
C値の目安は1以下で、C値0.5を目指すとよいそうです。
C値0.1クラスを目指そうとすると、そこにかかる人件費や労力を上回るコストメリットは得られないからだそうです。
省エネ等級が上がって躯体のUA値が小さくなっても、換気の熱損失が変わらないため、熱交換換気による暖房エネルギー削減率は、びっくりするほど大きくなる。
Q1.0住宅レベル2から4、等級6から7の住宅では熱交換換気は必須条件である。
全熱、顕熱、潜熱の違いをわかりやすく説明
非常にわかりづらい用語である、「全熱」「顕熱」「潜熱」。
これらの違いをわかりやすく説明いただきました。
全熱とは
「顕熱(温度)+潜熱(湿度)=全熱」
ということで、顕熱(温度)だけを採取するのか、潜熱(湿度)も採取するのかで変わります。
顕熱(温度)だけを交換するのは「顕熱型の熱交換換気システム」になります。欧州では多いようです。
潜熱(湿度)も採取することで「全熱型の熱交換換気システム」になります。最近、採用している第一種の熱交換換気システムは基本的には全熱型になります。
豆知識ですが、エンタルピーという用語がありますが、これは「エンタルピー=エネルギー」みたいな意味合いだそうです。勉強になります。
1. マーベックスによる熱交換換気システムの説明と質疑応答
マーベックスの製品は「澄家VS90 第一種換気方式」になります。
マーベックスという会社は大阪本社の全国6拠点で展開している会社です。
マーベックスの熱交換換気システムの他社との違い・特徴
- 床下設置型
- メンテナンス・修理交換が簡単
- 室内排気口が床にある
マーベックスの熱交換換気システムの特徴は「床下設置型」という点。
熱交換換気システム本体を床下に設置するので、熱交換機本体のサイズを大きくできるのが特徴。
また、こだわりは「メンテナンスが簡単にできること」「修理交換も簡単にできること」になります。
(質疑応答)ダクトの汚れについて
給気側のダクト自体はごく短いように作られているため、大丈夫だそうです。
外気導入側からすぐに熱交換機に来て、そこからの給気ダクトが1mくらいしかないので、リスクはあるけれども、汚れが問題視されるようにはならないように設計されているそうです。
2. ローヤル電機による熱交換換気システムの説明と質疑応答
ローヤル電機は熱交換換気システムメーカーのなかで、最もスタンダードなメーカーだそうです(鎌田先生曰く)。製品は熱交換換気システム「SE200R/RS」。
ローヤル電機の他社との違い・特徴
西日本は手薄ですが、北海道・東北・東日本では圧倒的なシェアを誇るらしいです。安価なのが最も訴求ポイントみたいです。
小屋裏、階間(天井)に熱交換機を設置することになります。
個人的な印象としては、システムのコントロールパネルや給排気グリルやフードなど、デザイン等は洗練されてはいないですが、地味でしっかり長持ちを考えている印象でした。
3. パナソニックによる熱交換換気システムの説明と質疑応答
パナソニックは説明不要の大企業です。
意外だったのですが、全熱交換ユニット(カセット形)でトップシェアだそうです。
考え方としては、ダクトをとにかく短くすることを考えるそうです。
パナソニックの他社との違い・特徴
- トップシェア
- 風量一定制御(強み)
- IAQ制御
トップシェア
熱交換換気システムとしては、三菱電機のロスナイが有名ですが、パナソニックが全熱交換換気システムではトップシェアだそうです。
風量一定制御
ダクトの状況に関わらず、給気・排気ともに風量一定制御することが可能。一定の風量を供給できるそうです。給気と排気のバランスが整う効果があるようです。
IAQ制御
IAQ制御とはおまかせボタンさえ押せば、季節に応じたおまかせ自動運転で年中快適の仕組み。
壁掛けダクトレスタイプ”IAQ-V”
鎌田先生が期待する壁掛けダクトレスタイプ”IAQ-V”。
本体そのものが大きいのですが、壁掛けタイプでダクトのない、ダクトレスタイプでかつ効果が高く、生活の中で気にならない静音設計。
実際に音を聞いてみたのですが、作動音もさほどせず、たしかに静音でした。
4. 協立エアテックによる熱交換換気システムの説明と質疑応答
協立エアテックは実は福岡本社の会社です。
アメニティビルトイン型空調機に全熱交換器を接続するというタイプで「協立エアテック製全熱交換器+ダイキン製アメニティビルトイン連動システム」の製品があります。
また、特殊な熱交換換気システムも製造しています。
それが「空調機に近い全熱交換器”DESIX”」です。
外気の除湿器・加湿器であり、全熱交換・バイパス・加温する機械になります。よくわからないですが、ポテンシャルの感じられる製品です。
協立エアテックの他社との違い・特徴
空調機に近い全熱交換システムである”DESIX”は特殊っぽいですが、すごい特徴があります。
- 梅雨時期除湿
- 無給水加湿
- ワンパッケージ化
外気の除湿器でもあるので、梅雨時期の除湿効果があります。
また、加湿器でもあるので「給水せずに加湿が可能」になります。空気中の水蒸気を吸収して、それを放出することで加湿しているらしいです。
それを熱交換換気システムとしてワンパッケージ化している製品になります。
まとめ
住宅が高性能化して、高気密高断熱住宅が多くなればなるほど、その価値をさらに引き出すために熱交換換気システムが重要になってきます。
熱交換換気システムを高気密高断熱住宅に導入することで、換気による熱損失を防ぐことができ、費用対効果も高く、コストパフォーマンスが高くなります。
そういうわけで、今回、熱交換換気システムについて複数のメーカーを交えて伺ってきたわけですが、基本的な性能・スペックはどの会社もよく、正直、業界的にも横並びであるという認識でしょう。
そのなかで、各社工夫を凝らして、特徴を出し、差別化していっているところを感じ取れました。
ありがとうございました。
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